専業主婦はあり?なし?共働き世帯が増える中、女性のキャリアを考える
女子大学生からの質問「専業主婦はあり?」
令和フェミニズムのメンバーになっていただいた大学生の方から、ホームページに質問をいただきました。いくつか質問をいただいたので、追ってブログにしたいと思います。
「専業主婦はありだと思うか」との問いです。ありかなしかと言ったらわたしは「あり」だとは思いますが、いくつか自論がございますので、解説いたします。
「あり」だが、専業主婦はリスクが大きすぎる
専業主婦は「あり」か「なし」かの二択で問われれば、わたしは「ありだ」と答えます。しかし、様々なリスクを考えると賛成はできません。
女性が専業主婦は目指すべきではない3つの理由
- 離婚に備えた経済力が持てない
- 罪悪感や劣等感が芽生える
- 再就職が難しくなる
この3つの理由について、次で解説します。
離婚に備えた経済力が持てない
結婚には離婚がつきものです。3組に1組の夫婦が離婚しているというデータは、決して低い数字ではなく、誰にでも離婚の可能性があるということを示しています。
離婚届けを出すことは簡単でも、実際の離婚は手軽なものではありません。
- 新居への引っ越し、敷金
- 新しい家具家電の準備
- 子どもの養育費、慰謝料
- 各種支払いの手続き
こういったお金がかかってきます。これまで各種支払いを夫婦で折半していた方は、離婚後は自分で払っていかねばならないため一苦労です。
ここで死活問題になってくるのが【経済力】です。
共働きでバリバリ働ている女性なら、引っ越し代の蓄えくらいはあるかもしれません。しかし、パートすらしていない専業主婦だとどうでしょう。自分の口座にはほんのわずかなお金しかない方もいるでしょう。
自身の経済力のなさが足かせとなって離婚に踏み切れず、何年も不幸な気持ちで過ごすことになるのはよくある話です。
子どもが巣立つまで我慢して熟年離婚に至るカップルは、こういった背景を持つことが多いです。
罪悪感や劣等感が芽生える
とある調査によると、専業主婦・主夫であることに後ろめたさや罪悪感のようなものを覚えたことが「ある」と答えた人は25.4%、「少しはある」31.2%、「ない」41.7%という結果となりました。
年齢が若く、子どもがいない人ほど「ある」と答える人が増えるようです。その理由には、
- それなりに忙しくしているが、収入がないことは後ろめたい気持ちになる
- 保育園に子どもを預けて働くママが素敵に見えた
- 働いてないと、家庭が裕福に思われがちである事
- 何かを購入する時は、必ず夫に聞かなければ悪い様に思う
- 自分は非生産的な毎日を送っていると自己肯定感が低かった
といったことが挙げられています。
若いママほど、周りのママと自分を比較し劣等感を感じてしまう人が増える傾向にあるようです。
再就職が難しくなる
わたしがこのトピックにおいてもっとも危惧している点が、この「再就職が難しくなる」という点です。
3組に1組が離婚しているデータもあるように、「結婚=安泰」ではありません。ところが、結婚や妊娠を機に職を離れてしまう女性はいまだに多いです。
仕事をせず、家事や子育てに集中する保守的な女性ももちろん素敵です。しかし、わたしは自立した女性であり続けることが、現代においてはより重要なことと考えます。
パートナーと離れる原因は、離婚だけに限りません。病気や事故による死別という可能性もあります。
また子どもの病気や進学を理由に、経済的に余裕がなくなり、共働きにならざるを得ないケースもあります。
職歴がないとそういった場合にすぐ就職することは難しくなりますので、たった一度でも働いた経験というのは重要なのです。
専業主婦のメリット「幸福感が高い」
専業主婦に憧れることへのリスクとデメリットを述べてきましたが、一方で専業主婦のメリットもあります。それは、【専業主婦の女性の幸福度は高いというデータ】が得られている点です。
以下の動画をご覧いただくと、1:32頃からそれが語られています。
ですがご注意いただきたいのが、「専業主婦の幸福度は高い」というのは、日本に限った結果ということです。
共働きが当たり前の国では逆に、ずっと家にいる方が幸福度は下がる傾向にあります。
女性はキャリア志向であるべき3つの理由
仕事をせず、家事や子育てに集中することを選ぶ、保守的な生き方ももちろん素敵です。しかし、今の時代は様々なケースを考慮し、女性も経済力をつけておくことが大切です。
数年前、「LEAN IN(シェリル・サンドバーグ著)」という本が世界的にヒットしました。女性もためらわず一歩を踏み出そうと鼓舞する内容で、世界中の女性に勇気を与えました。
その本の中で印象的だったのが、「女性は結婚や出産を視野に入れて、キャリアを抑える傾向にある」という点です。アメリカも、日本と変わらない点に驚きました。
出産・妊娠をはじめ、結婚による引っ越しをするのは女性の方に多く、女性は男性よりもライフイベントが多い傾向にあります。
また女性は性格的に遠慮がちな人が多く、目立つことを好みません。そのためハイキャリアを目指す人が少なくなるのです。女性自身のそういった性質が、女性みずからキャリアに制限をかけていると言えます。
30歳超えてからのキャリア変更は大変
多くの女性は、30歳前後で一度自分の人生を見直します。「結婚、出産を考慮してキャリアを抑えめにしてきたけど、このままでいいのかな?」「結婚できそうにないから、キャリアに振り切った方がいいかなあ」など…。
しかし、いざ30代半ばでキャリアアップ・キャリアチェンジしようと思うとなかなか大変です。
- 転職に踏み切る勇気がない
- 「こっちの道を選んでおけばよかった」など、後悔に襲われる
- 結婚への期待も捨てきれないので、結局現状維持
- 転職する体力・気力がない
- 自分に結婚する気がなくても、企業側からは「妊娠してすぐ辞める」と思われる
こういった理由から、30代半ばからキャリアを作ろうと思うと、ハードルが高くなるという現実があります。
一度下げたキャリアを上げるのは一苦労
結婚・出産を考慮してキャリアを抑えめにすることで、「はじめからキャリアを目指していればよかった」という後悔してしまうことがあります。
「どうせ27くらいで結婚するし」などと将来を考えずに過ごしていると、後々次のような後悔が生じます。
- 初めから大手を狙っておけばよかった
- フリーターじゃなく、正社員を目指していればよかった
- 職種をテキトーに選ばずに、もっとやりたいことをすればよかった
- キャリアを見据えて、○○の資格を取っておけばよかった
- もっとステップアップを意識して転職すればよかった
気づいた時には「履歴書がまっしろ」「履歴書かけるアピール要素がない」なんてことになってしまうのです。そういったことを防ぎ、必要なキャリアを積み重ねるためにも、キャリア設計は考えておいた方が無難です。
ハイキャリアの女性は既婚者が多い
先ほど紹介した「LEAN IN(シェリル・サンドバーグ著)」という本に書かれていることですが、驚くことに、アメリカでCEOになる女性は独身者よりも既婚者が多いというデータがあります。
わたしなりの分析ですが、きちんと分業できていれば、独身よりもパートナーのいる人の方が効率よく動くことができ、時間を確保しやすいからだと思います。
専業主婦よりも共働きの方が当然世帯年収は増えますし、さらに分業がしっかりできていれば、夫婦ともに順調に出世を重ねることができるのです。
まとめ
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。わたしは次の点から、若い女性が専業主婦を目指すことに反対の立場です。
- 離婚に備えた経済力が持てない
- 再就職が難しくなる
- 30歳超えてからのキャリア変更は大変
- 一度下げたキャリアを上げるのは一苦労
とはいえご家庭ごとに事情は異なるので、結局は夫婦で話し合って決めればいいことです。わたしは専業主婦そのものを否定するわけではありませんが、女性の自立がより重要と考えるため、専業主婦を目指すことには反対します。